魅力向上委員会 shun です。
「キス」というテーマで3つ目にやってきました。過去にも2つの記事を書いてるので、よければこちらもどうぞ。
では今回の Part3 では「キス」と「収入」の関係について綴って参ります。
『Interest of love』
妻、奥原由利菜はリビングでワイングラスを傾けながら、どうすれば生活が豊かになっていくのかを導き出そうとしていたが、いつものように芳醇な香りが思考を支配し始める。寝室で眠る夫、久志は営業職のサラリーマン。彼に対して特に不満があるわけではないが、日々幸せに包まれているという気持ちは、結婚して四年、少しずつ薄れていっているような気がしていた。今夜も溜め息に軍配が上がる。
由利菜は事務の仕事を終え、帰宅途中のショッピングセンターで突然名前を呼ばれた。振り返ると高校の同級生、河田ハルミだった。そしてその隣には、白のTシャツにダークブルーのセットアップを着こなし、リラックス&ラグジュアリーな雰囲気を醸し出す男性が微笑んでいる。「紹介するわ。夫の三木本マサヤ。なので私も三木本ハルミなの。」彼女の笑顔は幸せが溢れ出ている。由利菜は一瞬言葉を失ったが、すぐさま二人を祝福する。お互いの連絡先を交換し、腕を組み歩いてゆく二人を見ていると微笑ましいと感じるが、同時にほんの少しのメランコリーにほだされた。
夫との夕食時に、今日ハルミと偶然出会い、旦那さんが素敵だったことを話したが、いつものように普遍的な会話が行われただけだった。由利菜自身も久志に何か期待していた訳ではないが、心の表面を這いずる微かな揺らぎを沈められたら…そう思っていた。彼女は携帯電話からメッセージを送る。空になったワイングラスはしばらく由利菜にもてあそばれ、本来の役目を果たせずにいた。
電車の窓に映る少し顔の火照った自分を見つめながら、ハルミとの食事会での会話をよみがえらせる。ハルミの旦那さんは結婚当初から今みたいな素敵な雰囲気ではなかった。ではなぜそうなれたのか。「毎日いってらっしゃいの “Chu” したの」。”…それだけ?” 由利菜は久志とのキスの記憶を巻き戻す。該当するシーンを見つけるのに手間取る自分が情けない。それにキスを続けていたら旦那さんの出世が早まったらしい。ハルミらしい無邪気な見解ね。でも、もし【夫婦愛情選手権】があれば三木本夫妻の本選出場は濃厚で、私たち奥原夫妻は予選落ち。由利菜の焦燥感はピークに達していた。そしてそれを拭い去るのは “ある事を実行すること” だと。流れゆく景色の中には未だ火照った顔の自分がいる。しかし、体内のアルコール分解作業は少し前に終了していた。
由利菜のファーストトライは見事不発に終わった。何も出来ずいつもと同じ朝。しかし、チャンスは明日も訪れる。絶好のタイミングは必ずやってくるわ。4日目の朝、妻は遂に勝負に出た。夫が靴を履き終わり、「行ってきます」と言う瞬間、両手を相手の頬に添え、電光石火の口づけを交わす。久志は余りの一瞬の出来事に困惑した。あの由利菜が “いってらっしゃいのキス” をするなんて…どういう風の吹き回しだ。混乱と戸惑いの混ざり合う中で、一つの感情がマグマのように湧き上がってきた。それは、「喜び」だった。妻は少し動揺しながらも笑顔を見せた夫を優しく見送る。由利菜は心の中でじっくりと呟いた。
“…いけるかも”。
その日の夜、久志はいつもより饒舌だった。新規の契約がスムーズに進んだこと。いつも行列が出来る定食屋が空いていたことなど。由利菜は「キスの効果じゃないの?」と聞こうとしたが、もう少し検証してみる価値はあると思い、押しとどめた。
そしてそれから毎日、ふたりはキスを続けた。
愛情の利息が着々と積みあがっていく。
十数年後のとある夜。小学生の娘を三木本家に預け、奥原夫妻はホテルの最上階にあるイタリアンレストランでディナーをとっていた。由利菜はスリットの入ったシルバーグレーのワンピースにネイビーとボルドーが幾何学模様に織り込まれたストールを羽織っている。久志はホワイトのタブカラーにダークグレーとブラウンのハウンドトゥースタイ、ライトグレーのダブルブレステッドスーツにネイビーとボルドーのチーフをパフドクラッシュで差している。緩やかなジャズピアノの音色と照明の淡いオレンジ色が二人の装いを一層引き立てていた。ふたりはレストランを後にし、エレベーターで1階へ降りた。ロビーに出るとソファーでノートパソコンを忙しなく叩く青年が居る。久志はその彼に近寄り、そっと声をかけた。「せ、専務!お疲れ様です!」青年は慌てて立ち上がろうとし、パソコンを落としかける。彼は夫の会社の部下で寺沢和真。夫が話題にする仕事の内容で彼の登場する機会はとても多い。由利菜は挨拶と二言三言会話をした。「僕の尊敬する奥原専務と奥様にお会いできて光栄です!」彼の眼差しはとても純粋だった。「今、同棲している彼女と奥原さんのような人になりたいっていつも話すんです。」由利菜は少し照れながらお礼を言った。そして視線と微笑みを夫に向け、 “メッセージ” を送る。久志は妻からの暗号を解読するのに、それほど時間に頼る必要はなかった。「久志さんみたいになれる方法があるけど、実践してみる?」由利菜は嬉しそうに問いかける。もちろん寺沢は頷き、瞳を輝かせている。由利菜は久志にバトンを繋いだ。久志はまるで少年が宝物を手にする大冒険を語るかのように、深々と高揚していた。
「いいか、その方法はなぁ…」
~Fin~
集約
この物語は、ドイツ人研究者、アーサー・サズボが朝にキスをするカップルとそうでないカップルで統計を取った時に、キスをする方は収入が約25%も増加したというデータに基づき、僕なりに書いたものです。しかし、「キス」が起こす奇跡の効能は計り知れませんね。皆さんも元手が要らなく、膨大な利益をもたらす “愛情” に投資してみてはいかがでしょうか。
《KISS OF LIFE》
今回の記事は以上になります。
キスが生み出す愛情の利息☆スキあらばキス Part3 が皆さんの魅力の向上に貢献できれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
☆今日も貴方は素敵です☆